甘いキスはいかがですか？

「そういえば織里奈さんは、いつもチョコを学校に持って来てるよね」

「うん！チョコレート大好きだから！」

俺には名前も知らないチョコレートを、織里奈はいつも持って来て友達と食べていた。どんなチョコレートなんだろうと興味がある。

「チョコレートのこと、教えてくれない？」

俺がそう訊ねると、織里奈の目は輝いた。織里奈と話したいという一心でそう言ったが、織里奈の話が聞いていて楽しかったことはずっと心に残っている。

カカオは、紀元前の古代メキシコでは「神様の食べ物」と言われ大変高価なものだったらしい。当時のチョコレートは今とは違い、カカオ豆をドロドロにすり潰した飲み物だったらしい。そして、ヨーロッパに渡った後、ココアや食べるチョコレートが生まれた。

チョコレートの話をしてから、俺は織里奈と話すことが多くなった。そして、織里奈からチョコレートを貰うこともあった。

「これはショコラミエル！ミエルは蜂蜜っていう意味で、その名の通り蜂蜜のチョコレートなんだ」