甘いキスはいかがですか?
「これはフィナンシェ。「お金持ち」や「金融家」という意味があるんだ」

「これはカカオニブ!カカオ豆をローストして砕いたもので、とっても苦いけど癖になるんだ〜」

「これはノワゼット!フランス語で「ヘーゼルナッツ」っていう意味があるよ。たっぷりナッツが入ってるんだ」

チョコレートの話をたくさんして、俺たちの距離はグッと近づいたのかもしれない。「恋」だと気付くのに時間はかからなかった。

そして、一年生のバレンタインの日。顔を真っ赤にしながら織里奈に呼び出されて、パステルカラーのチョコレートを受け取った。

「これは、ドラジェっていうの。本当は結婚式に食べるチョコなんだけど、これを作っちゃった」

好きです、と言われ俺はもちろんオッケーした。こうして俺たちは「恋人」になったんだ。



校舎の外に出ると、一気に寒くなる。俺は「寒いね〜」と言っている織里奈の手をギュッとつないだ。

「これなら、まだあったかいだろ?」

「うん!」
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