甘いキスはいかがですか?
チョコを必死に返す俺を見て、友達は羨ましそうな目を向ける。このチョコレート、お前らにやりたいくらいだよ!!

一年生や三年生からも渡されそうになり、俺はたまらずやって来た織里奈の手を掴んだ。

「学校サボるぞ。これからデートだ」

俺が言うと、織里奈は「わかった!」と嬉しそうにする。そういえば今日は織里奈の苦手な数学があったしな……。

仮病を使って二人で早退し、制服だと目立つので私服に着替える。アイスブルーのワンピースに着替えた織里奈に、俺はまた胸を高鳴らせる。最近は忙しく、デートなんて久しぶりだ。

「どこ行きたい?決めていいぞ」

俺がそう言うと、「待って!」と織里奈が俺の手を掴む。とても恥ずかしそうな声で小さく言った。

「チョコ、受け取ってください」

かばんの中から織里奈が取り出したのは、ハートに型抜きされたチョコレートだった。ミルクだけでなく、ホワイトチョコもある。

「受け取ってくれる?」

上目遣いで織里奈は俺を見上げる。そんな顔、反則だろ!俺は真っ赤な顔を押さえた。
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