夏が好きな理由
僕、大和(やまと)は季節の中で夏が好きだ。サッカー部だから、夏の練習は汗だくになって嫌になることもあるけど、夏が一番好き。なぜならーーー。

「では、三十分休憩〜!!」

顧問の先生がホイッスルを鳴らしてそう言うと、僕はもちろんサッカー部は全員木陰へと走る。木陰に入ると、炎天下の中動き回っていたせいか、まるでエアコンの効いた部屋に入ったような気がした。

一週間ほど前から夏休みが始まったばかり。山ほどの宿題と、たくさんある部活にはちょっと憂鬱になる。でも、頑張って練習するんだ。そうすればいいことが待っている。

「大和、お疲れ〜!!」

元気のいい声が聞こえた刹那、頰に冷たいものが当たる。思わず「ぎゃっ!!」と叫んでしまった。

「何ビビってんのよ!こっちもビビったわ!」

クスクス笑うのは、ショートカットで足が綺麗な女子生徒。二年生の向日葵(ひまわり)先輩だ。

「急に冷たいものを当てられたら誰だってビビりますよ!」
< 1 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop