夏が好きな理由
古代ローマなんて、どれくらい昔なんだろう。一年生が習うのは世界史じゃなくて日本史だから、何千年前なのかわからない。

「テレビでやってたんだ。すっごく面白かったよ!」

向日葵先輩はそう言い、話を続ける。僕はそれに耳を傾けていた。

大航海時代を通して、アジアやアラビア圏から現在のものにより近いミルクアイスがヨーロッパに伝わり、そこでもまた独自の発展を遂げたらしい。

「日本でも、平安時代には氷を削ったものを食べていたんだって」

「世界の色んなところで冷たいお菓子はあったんですね〜」

溶け始めたアイスを、僕は口の中に入れる。今では普通にみんなが食べられるアイスが、古代ローマ時代は身分の高い人しか食べられないものだったなんて、信じられない。

「でも、夏はやっぱりアイスだよね〜」

「先輩、年中食べてるじゃないですか。よくお腹壊しませんね」

「だって、おいしいんだもん!大和が胃腸弱いだけでしょ!!」
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