雨の滴と恋の雫とエトセトラ
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「えっ、どう思うって、しつこくてうるさいくらいにしか思わない」

 積もり積もった不満が弾けるようにきつく口をついてしまった。

 その後はその話題は困ると言いたげに、私はアイスティを勢いよくストローから吸い上げた。

 瑛太は予想していた答えだったのか、潔く笑っている。

 明彦は目をぱちくりして、すこし面食らっていた。

 ここまでは私も想像できた範囲だったが、拓登がじっと動かずに反応なく、さっきから黙っているのが私を居心地悪くさせた。

 私も拓登ととはまだはっきりといえる間柄でもなく、真剣に考えるとはいったけどそれが告白の一種なのかあやふやであるため、瑛太の質問を第三者からされて一体何を思っているのか想像がつかず却って不安になってくる。

 私にとってはすでに拓登に気持ちが傾きつつあるだけに、それを今度どう伝えてよいのかわからないし、そこに瑛太が絡んできてややこしい。

 グラスを置いた後、私は拓登に振り返った。

 拓登もすぐに私を見て目が合うが、なぜか瞳が揺れて動揺している様が見受けられた。

「真由ちゃんも結構ストレートに言うんだね。もっと大人しくて消極的な人かと思った」

「明彦君、千佳が何を言ってるか知らないけど、私にも人を見る目というのがあるの」

「うーん、そうだったら、真由ちゃんは瑛太の事、かなり誤解してると僕は思うな。瑛太ってすごいいい奴だよ」

「それって、明彦君と友達だからじゃないの? 私の目からみたらさ、なんか意地悪ですごく強引なんだけど」

「おい、真由。俺の悪口はそこまでだ!」

 瑛太が我慢できずに口を出した。

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