雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「うそ、こけ!」

 瑛太が突っ込んでくる。

「雨の日の出来事は覚えているくせに」

 触れて欲しくないことを、本人がばらした。

 それでも無視をしようとすれば、やっぱり明彦がそれを見逃すはずはなかった。

「何々、雨の日の出来事って?」

 好奇心タップリに、ランランとしている瞳がキラキラしている。

「だから、それは事故だから。車にぶつかったみたいなもの」

 私は触れたくない話題だとそれとなく言っても全く通用しない。

「俺が頬にキスしたことがなんで事故なんだよ」

 ほら、本人が結局説明してくれる。

 拓登も食い入るように私を見ていた。

「小学一年の時、真由ちゃん頬にキスされたの? 瑛太がそんなことしたの?」

 明彦は驚いている反面、楽しそうでもある。

 もっと詳しく聞きたいとばかりに、じっと見つめてくる。

「だから、それは不可抗力で、私も瑛太に言われるまで誰だったかなんて覚えてなかったの」

 なんでこんなこと力説しないといけないんだろう。

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