雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「皆、がんばれよ。僕は一生懸命頑張る君たちが好きだ!」

 応援を送りたいのか、ヒロヤさんが突然吠え出して、私達は面食らってしまった。

「ごめんごめん。つい僕も混ぜてもらいたくなった。やっぱりいいね、高校生って」

「そういえば、ヒロヤさんの高校時代って確かアメリカで過ごされたんでしたよね」

 明彦が言った。

 初耳だったので、私も拓登も瑛太もハッとしてヒロヤさんに視線を向けた。

「まあね。そういうこともあったという感じかな」

 それ以上聞かれたくないのか、語尾が弱々しくなっていった。

 私としては憧れてるだけに、とても興味を持ってしまった。

 もっと詳しく聞きたいと思ったとき、電話のベルが鳴って邪魔をされてしまい、ヒロヤさんは奥へと引っ込んでいった。

 またここへ来たら、いつでも話が聞けるだろうと思ってヒロヤさんの話はとり合えず横に置いておく。

 そして私は再び瑛太を見た。

 先ほど、レモンをつついたときにふと思い出した事を確かめたいのだけど、英語を勉強している事を知ったことでなんだか落ち着かない気持ちになって、中々質問できなくなった。

 そうやってもじもじしていたとき、体の中も生理的現象が騒ぎ出す。

 アイスティのカフェインの利尿効果のせいか、私はトイレに行きたくなってしまった。

 よく考えたら男達に囲まれて、私一人だけが女だった。

 我に返ると、この中にいることがはずかしくなってくる。

 でも尿意には勝てずに私は思い切って正直にトイレに行きたい事を言った。

 明彦が親切に場所を教えてくれ、私が女だから気を遣ってくれているのか、そこはすんなりとトイレにいけた。

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