雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 拓登が言った言葉が思い出される。

『今日は少し寄り道しないか? ただ家に帰るだけならつまらないしさ。それに刺激があれば、きっともっと僕のこと考えてくれると思うんだ』

 私はあの時、刺激と言う言葉に反応したはず。

 今になってこの刺激という言葉が妙にひっかかる。

 もしかして、瑛太と明彦と会う事がそれだったとしたら。

 拓登は下駄箱で私を待っているとき、スマホをいじっていた。

 その時に瑛太に本屋に行く事を伝えていた?

 それとも瑛太が拓登に知らせていた?

 どっちにしても、わざと瑛太と会うことが、刺激と考えたら、それはそれで、そうともとれる。

 でもなんのために、そんな事をする必要があるのか。

 刺激を求めてはいたけど、瑛太と会うことで拓登が得られるものとは何だろう。

 それでは瑛太が協力していることになってしまうし、拓登が得られるものなんて煽りくらいしかない。

 全然メリットがない。

 その前に二人がアドレス交換していたらの話だが、二人が出会ったとしてもそこまでお互いの情報を交換し合うだろうか。

 それもありえなさそう。

 やはり深読みしすぎか。

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