雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「だって、いきなりだったし、私もどう接したらいいのかわからなかった。それに色々と注文されたし、驚くことばっかりだった」

「それで、今は僕のことどう思う?」

「うーん、はっきりいって、まだよく分からない部分の方が多いと思う。拓登だって私の事、よく分かってないでしょ。それと同じ」

 拓登は少し間を置いて考えていた。

「僕はどうすれば、もっと真由に僕のことわかってもらえるようになるかな」

「そんなのこれから一緒に居ればきっとお互いの事がよく見えてくると思う。だから拓登も私の事どう思うか遠慮なく見て欲しい。結構私って気の強いところあるから、幻滅するかもね」

「そんなことない。真由は気が強いんじゃなくて、意見をしっかりと持ってはっきりと言えるってことだと思う」

 意外と私の事をそう思ってくれていたことに驚いてしまった。

「拓登にそんな風に言われるなんて思わなかった」

「僕は真由が思っている以上に真由のこと見てるよ。真由がそれに気がついてないだけ」

「いつの間に」

「僕がなぜ真由に声を掛けたと思う?」

「なぜって言われても、傘を貸したから……?」

「だから、僕はずっと君を見ていたからなんだって。真由はやっぱり気がつかなかったんだね」

「えっ、そんなこと言われても、分かるわけがないよ」

「いや、分かってもらわないと困る!」

「だから、今、しっかりと見てるし」

 またここで、急に態度が変わって強く主張し出す拓登に私はやはり驚いてしまった。

 私も真剣に考えているから、こうやって自分から誘って一緒に帰っているというのに、拓登はそれでもどこか物足りないとでもいいたげに、ここでふーっと息を吐いた。

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