雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「あのさ、瑛太のことだけど、瑛太とはどうなってるの?」

「えっ、瑛太? 別にどうもなってないって。なんで瑛太の話が出てくるの?」

 拓登がこんな風に不満げになるのは、瑛太がかかわっているからかもしれない。

 瑛太は目の前にいないのに、その名前が拓登の口からでるだけで、充分邪魔をしてくれる。

 瑛太の邪魔をすると言った宣言は、すでに本人不在でも始まっていた。

「瑛太は一体何を考えているのか全く分からなくて、少し不安なんだ」

「拓登は以前瑛太と二人で話したことあるんだよね。その時何を話したの?」

「普通に無難なことを話しただけだけど、個人的に話せば瑛太は普通なんだ。僕の前では結構いい奴なんだ」

「それ、猫被ってるだけだと思う。私の前では嫌な奴だけど」

「そうなんだ。真由がいると、挑発してくるんだよ。だから、真由が瑛太に惑わされてたらどうしようとか心配になって」

< 145 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop