雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 まだ自分をさらけ出せないことで、過去のことも自由に言えなかったから、あんなに不思議な態度になっていた。

 根本的な原因を知れば、こんなにも氷解するとは思わなかった。

 でもまだ疑問も残ることはあった。

 拓登だけじゃなく瑛太も時々予測できない行動に走る。

 ここは男と女の性別の違いの感覚なのだろうか。

 しかし、あの二人を相手に自分らしいままで接する自分もすごいなとは思う。

 少しだけ、両手に花なのかなと思ってしまった。

 瑛太に指摘されたことだったけど、どこかで女としての自尊心を高めてくれてる実感が、正直あったかもしれない。

 くすっと笑いながら、次に、萌からのメッセージを見た。

『真由、すぐに連絡頂戴。池谷瑛太の新たな情報入れたよ』

 ハッとするや否や、私は萌の電話番号を探してすぐに操作していた。


「真由、今までどこに行ってたのよ」

「ごめんごめん、萌、ちょっと遊びに出かけてて、スマホの電源切ってたのよ」

「まあ、いいけどさ。ところで、例の話だけどさ、池谷君と仲が良かった子は、中三の時の同じクラスのヤマダショウヘイだって」

「ヤマダショウヘイ? 誰だか分からない。ちょっと待って、アルバム見てみる」

 私はスマホを片手に本棚に入れてあったアルバムを取り出し、慌ててページをめくった。

「かなり仲良かったらしいよ。クラスでもいつもつるんでたって噂」

「あっ、この人か。でも私、この人全く知らない」

「それが、中学二年が始まる前にどっかから引っ越してきた転校生らしいから、私達みたいに純地元組ではない」

「えっ、そうなの」

 それでは全く私の思い出に関係ない人だった。

 少しがっかりしてしまった。

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