雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「どうしたの? 一体、池谷君の何を調べたいわけ?」

 こうなると萌には本当の事を話した方がいいと思えた。

 私は小学校一年生のキスの話の事を話して、その真相を探りたいと正直に教えた。

「あらま、そんな事があったの。でもそんな昔の事を今更知ってどうするの?」

「どうするもないんだけど、瑛太は教えてくれないし、その真相に何かあるんじゃないかと思ったら気になってさ」

「今、瑛太って呼び捨てしたね。そんなに仲良くなってるんだ。すごいね、真由。やっぱり真由には池谷君を魅了する何かがあるんだ」

「そんなんじゃなくて、私は他に好きな人がいて」

「えっ、何それ、まさか三角関係で、二又?」

「違う、違うって、そうじゃなくて」

 結局、拓登の事も話す羽目になってしまった。

「すごいね、真由。かなりもててるんだ。昔から持ててたもんね。でも真由はそう言うの興味なかったし、受験勉強に必死そうだったの覚えてるわ。そうだよね。あれだけ努力したんだから、高校生でやっと恋に花咲かせるのは当たり前だ」

「花咲かせるほどでもないんだけど、とにかく瑛太が邪魔をするから、色々と瑛太の情報を集めて、何か解決できないかと思っただけなの」

「そういえばさ、小学生のとき池谷君と結構仲良かったのは、阿部君じゃなかった?」

「阿部君? あっ、お母さんが先生だった?」

 阿部君のことは覚えていた。

 母親が先生で、学年は違うけど自分の息子と同じ小学校で教えていた。

 私が覚えていたのは、廊下で阿部先生と阿部君が仲良く話す姿を何度も見ていて、学校でも親子という話は有名だったから。

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