雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「真由ってさ、最近生き生きしてるよね」

「やっぱ恋する女っていうのは色々とアクティブになっていくんだよ」

 かの子がわざとらしく私を見てはニヤニヤする。

「当たり前のことを一々いわなくてもいいの」

 千佳が放っておけと言わんばかりにかの子を牽制する。

 私はなんて言っていいのか分からず、その場は笑っているだけだった。

 自分が生き生きしているのは少なからず拓登との事が原因だけど、もう一つ、瑛太の過去の事を探ろうと阿部君と会う約束をすでに取り付けたからやる気が出ているのかもしれない。


 遡って数日前のこと。

 萌から阿部君の事を知らされて、その後学校からいそいそと帰ってきては小学校へと向かった。

 阿部君の住所も電話番号もわからなかったので、直接お母さんである阿部先生に聞くのが一番早いと思ったからだった。

 とても勇気がいったけど、小学校の中に入ったとたん、最初に出会った見知らぬ先生に不審者と思われて声を掛けられたのをきっかけに、すぐに阿部先生のことを聞く事ができた。

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