雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「ねぇ、ゴールデンウィークの四連休は皆何するの?」

 みのりが言い出した。

 今年の連休は土日月火と四連休もあった。

 お金があれば旅行なり、色んなところに遊びに行きたいと思うが、高校生ではやれることはたかが知れてる。

 私はその連休が始まる前日の金曜日の夕方に、過去の記憶と対峙する予定があり、それが終わらないことには四連休をどうしたいとか考える余裕がなかった。

 皆それぞれ、特に予定はないといっているが、皆で何かをしたいと計画することもなかった。

「真由は山之内君とデートでもするんでしょ」

 かの子がまたわざとらしい笑みを浮かべて言ってくれる。

「そんな予定もないし、今はそれどころじゃないんだ」

「ちょっとどうしたのよ、真由。何かあったの?」

 千佳が心配して聞いてくれた。

 別に隠すほどのことでもなかったので、少し小声になりながら、三人に阿部君に会う事を伝えた。

「へぇ、そんなことになってたのか。あの池谷君は嘘ついてたのか。でもなんでそんな嘘ついたんだろうね。その後は親友のために人肌脱ごうとしても、最初は成りすましってなんか矛盾してない?」

 かの子は不思議がっていた。

「だから池谷君は真由の事が好きだから、魔が差して親友の代わりになれるかもって思ったんじゃないの?」

 みのりは一般論的な意見だった。

「でもさ、池谷君をみていると、真由とは確かに相性はよさそうなんだけど、どうもなんか違うんだよね。なんでもいい合える割には、どこかで意地を張り合って競争して、でも結局は本音でぶつかり合う後腐れのない関係っていうのかな。お互いすごく似ている」

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