雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「すっかり公認の仲になってるみたいだね」

 みのりがぼそっと言った。

「でも、まだ私達付き合ってるわけじゃないんだけど」

「そう思ってるのは真由だけだと思う。山之内君は真由のこと本気で好きみたい」

 みのりはさらりと言ってくれるのだが、しっかりと観察しているだけに、その言葉だけでドキドキとさせられた。

 みのりと二人だけで帰るのは初めてだったかもしれない。

 いいチャンスだとばかりに、みのりは拓登と私の話題ばかりを話す。

 拓登が普通の高校生には見えずに、しっかりとしすぎていると何か違う雰囲気があると言ったとき、それはきっと帰国子女であり、海外で育った積極性な面がでているのだろうと、私は思った。

 私も最初そのように感じては拓登が大人っぽいと思っていた節があったし、今はその理由がわかるだけに非常に納得する。

 でもこれは話せないので私はふんふんとただみのりの話を聞いていた。

「みのりは好きな人いないの?」

 私達の事を言われるばかりでは悔しいので、みのりに話を振ってみた。

「秘密」

「えっ、どうして?」

「そのうち、真由みたいにネタができたら話すね」

「ちょっと、ネタってそれ、何よ」

「だって、真由はなんか波乱万丈でさ、私なんかの話では太刀打ちできない。まずは真由が落ち着いてから。その前に千佳もだった。千佳もヒロヤさんに片思いなんだよね。あれもきっと辛いだろうな」

 これから私はヒロヤさんのところへ行くとついいいそうになったのを押さえ込んだ。

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