雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 ちょっとちょっと、一体どうなってんのよ。

 どうして瑛太と山之内君がにらみ合ってるのかわからない。

「ちょっと待って、あの」

 私が収集つけようと二人の間に入ろうとするが、完全に無視された。

「瑛太、嘘をつくのはやめてもらおうか。倉持さんも困ってるだろ」

「一体なんの嘘をついたんだよ。文句があるならはっきり言えばいいじゃないか。拓登は真由の事をどうしたいんだ? 俺、昨日ちゃんと告白したんだぜ。真由 が好きってな。あんたもはっきりと気持ちを伝えたらいいじゃないか。なんか見てたらまどろっこしいというのか。イライラしてくる」

 山之内君はぐっとお腹に力を溜め込むように黙りこくった。

 何かを言いたそうにしながらも、それを押さえ込んでいるようだった。

 そしてようやく口を開けた時、私を見た。

「僕は、その、倉持さんに……」

 その後が言い難いのか、またぐっと歯を食いしばっている。

「ほら見ろ、言えないじゃないか」

「もう、ちょっと、瑛太いい加減にして。一体、何がしたいわけ? はっきり言って、瑛太とは昨日初めて喋っただけで、私とは全く関係ないでしょ」

「なんでだよ。俺たち、小学一年生からの仲じゃないか。俺は真由のことずっと見てたぞ」

「でも、私は全然見てなかった」

「でも俺のことは知ってるだろ。なんせ小学一年生のとき同じクラスだったんだから」

 小学一年生のことばかり瑛太は強調する。

 そんな大昔なこと強調されても、滑稽なだけなのに、なぜそこまでそれに拘るのかがわからない。

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