瞳に印を、首筋に口づけを―孤高な国王陛下による断ち難き愛染―
ゾフィが本物ではないと気づいたとしても、あのときクラウスはレーネとほとんど言葉を交わさなかった。さらにその後、レーネはゾフィの侍女として徹底的に目立たないように生きてきた。
レーネがゾフィの姉である事実はある程度知られているが、それだけだ。おかげでノイトラ―レス公国でクラウスが自分を迷いなく欲しがったとき、レーネは驚きが隠せなかった。
どうして私がわかったの? どうして……。
レーネの質問にクラウスは余裕たっぷりに微笑み、改めて彼女の手を取る。
「どんな姿になっても、どんなに時が経っても、見つけられる。絶対にだ」
静かにそこまで言い切ると、クラウスはレーネの手を口元に持っていき甲に口づけた。
「魂が跪く」
『あなたが跪いてもいいと思える女性にしなさい』
遠い昔の記憶と共にレーネの瞳から涙がこぼれる。クラウスは彼女の目元に唇を寄せ、静かに抱きしめた。
次の人生などいらない。今、相手がそばにいて思い合っているならそれで十分だ。遠回りしてやっとたどり着いた。
クラウスの腕の中で、実感する。彼に巡り会うためにここまで歩いてきたのなら、きっと無駄ではなかった。
満ち足りた気持ちに包まれながらレーネの月にも似た金色の瞳は、これから彼と共に歩んでいく幸せな未来を映していた。
Fin.
(首筋に口づけ……執着、独占欲、深い恋情)
レーネがゾフィの姉である事実はある程度知られているが、それだけだ。おかげでノイトラ―レス公国でクラウスが自分を迷いなく欲しがったとき、レーネは驚きが隠せなかった。
どうして私がわかったの? どうして……。
レーネの質問にクラウスは余裕たっぷりに微笑み、改めて彼女の手を取る。
「どんな姿になっても、どんなに時が経っても、見つけられる。絶対にだ」
静かにそこまで言い切ると、クラウスはレーネの手を口元に持っていき甲に口づけた。
「魂が跪く」
『あなたが跪いてもいいと思える女性にしなさい』
遠い昔の記憶と共にレーネの瞳から涙がこぼれる。クラウスは彼女の目元に唇を寄せ、静かに抱きしめた。
次の人生などいらない。今、相手がそばにいて思い合っているならそれで十分だ。遠回りしてやっとたどり着いた。
クラウスの腕の中で、実感する。彼に巡り会うためにここまで歩いてきたのなら、きっと無駄ではなかった。
満ち足りた気持ちに包まれながらレーネの月にも似た金色の瞳は、これから彼と共に歩んでいく幸せな未来を映していた。
Fin.
(首筋に口づけ……執着、独占欲、深い恋情)