瞳に印を、首筋に口づけを―孤高な国王陛下による断ち難き愛染―
「やぁ、こんにちは。ご機嫌いかがかな?」
与えられた自室に戻る途中、軽やかな口調でレーネに話しかけてきたのはアルノー夜警団のアードラーのひとりルディガーだ。
一歩間違えれば無礼にあたりそうなものを彼の人のよさか、柔和な雰囲気のおかげか、相手に不快感を与えず警戒心を解かせる。
彼のすぐうしろには副官のセシリアが控えていた。細く柔らかい金色の髪をうしろでひとまとめにし、涼やかなアイスブルーの瞳はルディガーとは対照的に落ち着いた印象を抱かせる。
ルディガーはレーネからタリアに視線を移すと、後ほど彼女を部屋まで送り届けることを約束し、タリアに席を外すよう申し出た。
タリアは複雑な表情でレーネを見る。あからさまに口数の少なくなったレーネを疲れているのではと気遣ったからだ。
「ですが、マグダレーネさまは……」
「いいの。タリアは先に戻って少し休んでて。私も陛下のお話を彼から聞いてみたいと思っていたから」
タリアの憂慮を払拭するためにレーネは明るめに告げた。完全にとはいえないまでも納得したタリアは渋々下がる。
タリアを見送ると、とりあえず廊下で立ち話をする面々でもないので、一行はアードラーに宛がわれたルディガーの仕事部屋に向かうことになった。
与えられた自室に戻る途中、軽やかな口調でレーネに話しかけてきたのはアルノー夜警団のアードラーのひとりルディガーだ。
一歩間違えれば無礼にあたりそうなものを彼の人のよさか、柔和な雰囲気のおかげか、相手に不快感を与えず警戒心を解かせる。
彼のすぐうしろには副官のセシリアが控えていた。細く柔らかい金色の髪をうしろでひとまとめにし、涼やかなアイスブルーの瞳はルディガーとは対照的に落ち着いた印象を抱かせる。
ルディガーはレーネからタリアに視線を移すと、後ほど彼女を部屋まで送り届けることを約束し、タリアに席を外すよう申し出た。
タリアは複雑な表情でレーネを見る。あからさまに口数の少なくなったレーネを疲れているのではと気遣ったからだ。
「ですが、マグダレーネさまは……」
「いいの。タリアは先に戻って少し休んでて。私も陛下のお話を彼から聞いてみたいと思っていたから」
タリアの憂慮を払拭するためにレーネは明るめに告げた。完全にとはいえないまでも納得したタリアは渋々下がる。
タリアを見送ると、とりあえず廊下で立ち話をする面々でもないので、一行はアードラーに宛がわれたルディガーの仕事部屋に向かうことになった。