俺はお前しか好きになれない。
きてほしくない時間が来てしまったから余計に憂鬱だ。時間ってこんなにあっという間だったっけ?と思ってしまうほどあっという間に放課後が来た。

昨日はたまたまで、今日は一緒に帰れないし、今頃何をしているかなんて、容易に想像がつく。



まだ見ていないのに胸がチクッと痛んだけれど、私の予想は見事に的中した。

私の胸が激しく痛んで、心臓の収縮が激しくて、冷や汗もかいていた。わかっていたことなのに、違ってほしいって思っていた自分がいたから。


私の一縷の望みはあっという間に壊される。



ローファーに履き替えて外に出ると、中庭にいる咲夜が見えた。去年も中庭だったからなんとなくわかっていたけれど、まわりにはたくさんの女の子がいた。

私は気持ちを抑えて見つからないように通り過ぎようとしたのに。



「朱音……!」


遠くから咲夜が私の名前を呼んだから、意表を突かれて肩がビクッと跳ねる。
< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop