俺はお前しか好きになれない。

走っているとき、私の目から温かい雫が溢れてきた。

知らなかったよ。泣いてしまうくらいきみのことが好きになっていたなんて、知らなかったよ、きみに話しかけてもらえるだけでこんなにもうれしいなんて知らなかったよ。

だけど、知りたくもなかったよ。



ほんとうは、さっき名前を呼んでくれた時すごくすごくうれしかったし、「うん、帰ろう」って言いたかったし、笑顔を向けたかった。

だけど、私はできなくて、私のせいで離れた。



家に帰ったら咲夜に見つけられるかな、と探しにくるわけが無いのに。探しにくる確率はゼロに近いのに。バカみたいな期待をしていた。

きっと仮に探しにきたとしても見つからないから、と私は近くの公園にいた。




そう思ったのに。ぜったい見つからない、と思ったのに。