嘘の仮面



「…別に、ただ見てくるだけで害はなさそうだから、放置でいいんじゃねぇの」

「了解、君の指示に従うよ」


…そう、君はそう判断したんだね。


彼らは確かにこちらを見ているけれど、背を向けている奴らが携帯で何かしらの連絡を取っていることに気が付いていない。

角度的に見えないからわからないのか、ただ単に気づかなくて見逃してるか。



…少し、残念だ。

君のことを過剰評価しすぎたのかもしれない。



「あ、そういえば瑠衣ってボウリングずっとやってたの? めっちゃうまくない?」


少し暗くなった雰囲気を払拭するかのように笑顔を浮かべて瑠衣に話題を振る。

突然変わった話題に少しの間ぽかんとしていたけれど、何故か少しほっとした顔をした。


「…上手い下手は正直よくわかんねぇし気にしてないけど、ボウリングは好きだ」

「まぁ好きなものがあるのはいいことだよね。あんまり頻繁にはやらないけど俺もボウリング好きだし」


今度どっちかがストライク以外取ったら奢るっていうルールでやってみない?

と不審がられない程度に距離を縮めていく。


俺と馴れ合う気がなかったらここは断るはずだろうし。



「…いいぞ。絶対勝つ」

「あは、負けないよ」



奢ってもらうもの、決めておかなきゃ。



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