嘘の仮面
ほら、なんともないから。
そう腕を振ったり結構な強さで叩いてみせた。
それを見てようやくほっとした唯斗は瑠衣たちのもとへ駆けて行った。
…腕が、鈍く痛みを伝えてくる。
それを我慢して痛む腕を庇わずに一日を自然体で過ごした。
学校が終わる頃には、背中に脂汗がじんわりと滲んでいた。
*
「ねぇ、このあとってどこに行くの? 唯斗から何も聞いてないんだけど…」
「ショッピングモール! 色々見に行こうって話をしてる!」
「いいね、それ」
ショッピングモールなんて何年言ってないんだろ…と声を漏らす。
そのことに驚いたのはやっぱり瑠衣以外の二人だった。
「嘘だろお前…服とかどうしてるんだよ」
「通販とか採寸に来てもらって作ってもらってるけど」
「…お金持ちなんだね、誠って…」
「…別に、そんなんじゃないよ。」
本当に、そんなことない。
思わず無表情になった。
すぐに取り繕ったから二人にはバレなかった。
でも、瑠衣の視線は鋭くこちらを刺していた。
…瑠衣には完全にバレたね、失敗した。