嘘の仮面
「とりあえず、行くなら早く行こう。どうせ長い間ぶらつくんでしょ? 時間なくなるよ」
「あっそうだった。早く行こ!」
一人だけ先に進んで手を振る唯斗は楽しそうだ。
それに続いて理人も後を追う。
俺もそのあとに並ぼうとして、瑠衣に引き留められた。
…鈍く痛む右腕を掴んで。
「い……っ!」
「…やっぱりな」
…お前、さっきぶつけたドアでケガしただろ。
腕を掴みながら瑠衣はそう言った。
痛い、痛いから早く離してほしいんだが。
「……なんのこと?」