嘘の仮面
ほら。
そういって親指で後ろを指さした先を見れば、若い男二人がそれを見ていた。
…まずい、あれがもし、探してるものだったら──
「…っごめん、やっぱり見てくる。 先に行っといて」
「えっ? おい誠?」
「どこいくの!?」
「ごめん、ちょっと寄らなきゃいけないところができた」
一言言い残してその場から引き返すために右足を後ろに引いた。
……あれが本物だったら、今の所持金じゃ買えない。
「ごめん瑠衣、お金持ってるならちょっと貸してほしい。あれが目当てのものだったら一万円じゃ買えない」
「…いくらだ。三万までなら今貸せるが」
「それで十分。お願い貸してもらっていいかな」
「……ほら」
「ごめんありがとう、後で返すね」
差し出された三枚のお札をひったくるように受け取ってから急いで道を引き返す。
…間に合ってくれ。