嘘の仮面
「──さすがに高ぇなぁ…」
「──かっこいいデザインだったのにさすがに高いな、ブランドものだから仕方ないけどな」
「──金貯めてまた買おうぜ。あれほしいわ」
「──金貯めてまでは俺はいいかな」
…まに、あった。
店にたどり着いたとき、ちょうど二人組が離れるところだった。
入れ替わるようにその場に滑り込んで、展開されているものを見る。
「これ…やっぱり……」
ショーケースに飾られているそれは、見る限り俺が探していたものだった。
静かに周りを見て、店員と思われる男の人に声をかける。
「…すみません、店頭に展開されてるアクセサリーを見せてほしいんですが…」
「──っは。学生ごときが買えると思わねぇがな」
「いいから、見せてください」