嘘の仮面


「ちょっとごめんね、授業始まる前に先生に教科書貰いにいかなきゃいけないから行ってくるね」

「私手伝う!」

「教科書重いでしょ? 私手伝うよ!」


「あはは、大丈夫だよ、女の子に教科書でも重い荷物なんて持たせられないから。

じゃあ、ちょっと行ってくるから道開けて?」



女子が好きそうなセリフを、女子が好きそうな顔で告げる。


伝わらない雌豚共はなぜか黄色い歓声を上げて素直に道を開けてくれた。


なんて聞き分けのいい豚どもなんだ。



思わず感心した。



ドアの前で待っている3人とすれ違う時、

「屋上で待っている」

と耳元で囁かれた。



言い訳として教科書を貰いに行くと言う言い訳をしたからには職員室に向かわなければいけない。




教科書なんて転入する前に貰ってるけどね。


返事をする代わりに一つ頷いて、職員室に向かう廊下を歩いた。



< 9 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop