一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 女の子に呼びかけながら歩いてくる彼もまた、モデルのような風貌だ。

 いきなり現れた見目麗しいふたりに唖然としていると、雅臣の傍らに立った女の子がつりあがり気味の大きな目を細めた。

「結婚相手を連れて来たって聞いたんだけど。もしかして、その人?」

 探るような視線を注がれ、慌てて立ち上がる。

「あの、私、瀬戸口愛と申します」

「こら伊都。失礼でしょう。きちんとご挨拶なさい。ほら、(ぜん)も」

 清香さんが厳しく言うと、女の子はしぶしぶというように居住まいを正した。

「……はじめまして。二條伊都です」

 彼女のうしろに立った男の子も「善です」と口にして、小さく頭を下げる。

「ごめんなさいね、愛さん。今年二十歳になる娘と息子よ。双子なの」

「双子⁉」

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