一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
今日の私の衣装は、雅臣が用意した清楚なブラウスとミディ丈の上品なスカートだ。普段はあまりしないお化粧も、楓さんに教わった通りのナチュラルな雰囲気に仕上げている。
「ふうん」
小さくつぶやくと、伊都さんは興味を失ったように顔を逸らして雅臣のとなりのソファに腰を下ろした。
「雅兄もとうとう結婚かぁ。もうちょっとねばると思ってたのに」
クリスタル製の豪華なシャンデリアに負けないくらいの存在感を放ちながら伊都さんが言うと、それまで無言だった雅臣がふっと笑みを漏らした。
「そろそろ年貢の納め時だと思ってな」
ご両親とは関係がよくなさそうだけれど、妹さんとは仲がいいのかな。