一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
ひとまず妹関門も突破できたことにほっとする。談笑し始める麗しの兄妹から視線を移すと、双子の片割れの善くんと目が合った。伊都さんとよく似たつりあがり気味の目を、興味深そうに私に向けている。
「愛さんて、歳、いくつなんですか」
「あ、二十五です」
伊都さんが座ったソファのアームレストに腰をあずけて、彼は甘く整った顔を無邪気に崩す。
「へえ、年下かと思った」
伊都さんの真黒なストレートヘアと違い、こちらは茶色の柔らかそうな髪を流行りのマッシュショートスタイルにしていて外国の王子様みたいだ。彼自身もにこにこと笑顔を浮かべていて朗らかな印象だった。
「あ、すみません。義姉さんになる人に、失礼だったよね」
「いえいえ、未成年に間違われるのはしょっちゅうなので」