一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
シミひとつない滑らかな肌をしていた清香さんを思い出して、激しく首を振った。いや、全然見えない。もしそうなら魔法だ。もしかして、魔女……?
私の心の声が聞こえているみたいに、伊都さんが突然噴き出した。
「あなた、考えが顔に出すぎるわ。そんなんで、よく今まで生きてこられたわね」
五歳も年下の女の子に言われて、ちょっとムッとする。たしかに、私は隠しごとが苦手だ。にもかかわらず、今はあらゆる人に嘘をついている。お母さんにも、二條家の人たちにも。
「雅兄たちと私たち双子は、母親が違うのよ」
「え……」
「さっき会ったのは私たちのママ。後妻よ。雅兄たちのお母様は二十五年前に亡くなったんですって」
「そう、だったんですか」
声がしぼんだ。