一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 シミひとつない滑らかな肌をしていた清香さんを思い出して、激しく首を振った。いや、全然見えない。もしそうなら魔法だ。もしかして、魔女……?

 私の心の声が聞こえているみたいに、伊都さんが突然噴き出した。

「あなた、考えが顔に出すぎるわ。そんなんで、よく今まで生きてこられたわね」

 五歳も年下の女の子に言われて、ちょっとムッとする。たしかに、私は隠しごとが苦手だ。にもかかわらず、今はあらゆる人に嘘をついている。お母さんにも、二條家の人たちにも。

「雅兄たちと私たち双子は、母親が違うのよ」

「え……」

「さっき会ったのは私たちのママ。後妻よ。雅兄たちのお母様は二十五年前に亡くなったんですって」

「そう、だったんですか」

 声がしぼんだ。

< 125 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop