一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 もっと触ってほしい気もする。

 でも。

「ま、雅臣!」

 叫ぶと、私の耳もとに唇を付けていた彼が私を見下ろした。うかがうように彼を見上げ、強い瞳に負けないよう目に力を込めて訴える。

「まって……お願い」

 視線がぶつかると、雅臣はくっと小さく肩を震わせた。

「それは……逆効果だ」

「え――」

 ふたたび唇が合わさり、さっきよりも激しいキスをされた。逃げようと思って舌を引いてもあっけなく捕らわれ、小刻みにくすぐられたり、大胆に吸いつかれたり。人間の舌とは思えない動きに翻弄される。

 呼吸が上がっていく私の様子をうかがいながら、雅臣は首筋に吸い付き、少しずつ下がっていく。

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