一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
くすぐったさに身じろぎをしても、押さえつけるようにキスをされた。そして彼の右手がワンピースの裾を押し上げていく。太腿を通り過ぎ、下着がゆっくり露出していく感覚に体が固まる。
「ま――」
そのとき、サイドテーブルの電話が音を立てた。
室内に響き渡る電子音に、雅臣の動きが止まる。広い部屋に呼び出し音だけが響き、時間が静止したみたいだった。
ぼんやりと物憂げだった雅臣の瞳に、少しずつ光が宿っていき、やがて彼はハッとしたように私を見下ろした。ワンピースを胸の下までまくり上げられ、ショーツをあらわにした姿を見て、慌てたように跳ね起きる。
はあっと息をついて頭を掻きながら、彼はベッドを下りて電話を取った。
裸の背中にはやっぱり筋肉の筋が浮いている。どぎまぎしながらも、急いでワンピースを着なおした。
通話を終えて振り返った雅臣は、どことなく気まりが悪そうな顔で小さくつぶやいた。
「朝食だそうだ」