最後の言葉
その後カズオは、有るはずのない仕事には行かず、アパートにも戻らずに、ほとんどを人気の少ない河川敷や公園で過ごしました。
ボイスレコーダーを片手に、録音したシュンの声を聴きながら真似ていました。
記憶したシュンの唇の動きと生声を思い出しながら、ボイスレコーダーで言回しの癖などを逃さず聴いて、シュンの声色を繰り返し練習しました。
しかし人真似の苦手なカズオは、すぐには上手くいきませんでした。
毎日、毎晩、ほとんど眠らずに練習しました。
そして六日目にようやく完成したのです。