好きな人の物語

まあ、そんなサラブレッドであり金持ちな訳で


雪那は病弱と言うこともあり色々な事に巻き込ま


れてきた。


そのお陰と言うかそのせいで兄は異常なほどの


シスコンという病を患ってしまったのだ。


お陰で1人で日本に帰国することも反対され


半年かけて説得し兄の家に住むという条件で


帰国を許してもらったのだ。


兄の友達が同じマンションに住んでいるし、



もし、発作が出ても病院が近いから、と言うこと


らしい。


全く、あの兄の過保護さときたら嫌になると


雪那は心のなかで呟いた。


エントランスに入るとコンシェルジュがいた。


「今日からお世話になる古雅です。」


「あ、最上階の古雅様の妹様ですね。ご連絡頂い


ております。コンシェルジュの相原と申します。


よろしくも願いします。」


初老のダンディーな紳士の相原さん。


「こちらこそご迷惑お掛けしてしまうと思います


が、よろしくお願いします。」


と、雪那も頭を下げた。


部屋は最上階だった。


マンションにはあり得ない広さ。


「うっわ、ひろ!」


雪那は思わず呟いた。


茶色やベージュで揃えられた温かみのある部屋で


いかにも兄らしい部屋だった。


雪那ばどちらかと言うと寒色系の色の方が好き。


だが兄は暖色系の方が好きでよく似合っていた。


好みでは無いものの、ある種の居心地の良さを感


じて、嫌いじゃない。


その時、ポケットに入れていたスマホが鳴った。


「Hello?」


癖で英語で出てしまった。


『あ、雪那?』


兄の佐那だった。


「お兄ちゃん。」


『ん、ちゃんとマンション着いたか?』


「うん、着いたよ。てか広くない?」


『ん~まあ最上階だしな。その部屋の下の階に


俺の親友が住んでる。実は呼吸器内科医でな。


ちょうどいいかと思って。なんかあればそいつの


とこ行けよ。』


「え、大丈夫なの?」


『ああ、俺の妹って言えば問題ないから。』


「適当だね相変わらず。」
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