好きな人の物語
『仕事はしっかりしてんだからプライベートで位
適当でいいんだよ。』
なんて相変わらず適当な事を言う佐那。
「相変わらず適当だね。」
雪那は思わず呆れたように言った。
『相変わらずってどういうこと?』
「そのままだよ。」
『雪那は相変わらず失礼だよね。』
「なにそれ。失礼ね。」
『そんなことより、瑠子おば様が斎木総合病院で
働かないかって言ってるよ。』
「瑠子おば様がってことは春来おじ様の病院でっ
ってこと?」
『そう言うこと。』
瑠子おば様は医師会の副会長で母の部下。
そんな瑠子おば様の夫である春来おじ様は
斎木総合病院の院長だ。
実は家族ぐるみで仲が良い古雅家と斎木家。
ただ、雪那は斎木家の子供さんのことは
知らない。
と言うのも佐那が会わせてくれなかったのだ。
聞くところによると息子さんと娘さんが居るらし
い。何度も瑠子おば様や春来おじ様に会わないか
と誘われていたのだが、その度に佐那が邪魔を
するのだ。
引いてしまうほどのシスコンである。