校内一モテる地味子ちゃんの裏の顔
その間も、口説いてみる。
ちょっといつもより大胆に。


「付き合ってよ」
「…へ?」


少し赤く染まる顔、びっくりしたのか俺をじっと見つめる姫莉ちゃん。
そーそ、ちょっとでも長いこと俺のこと見ててよ、それで落ちちゃってくれたらさ、ね。


「……やです」
「どーして?」
「すぐ捨てる人と付き合っても、寂しいだけだもん」


しゅん…と、何かを匂わせる姫莉ちゃん。
うーん…これは手強い。


「そんな捨てたりしないよ?」
「すぐ彼女変わるの、見たよ?」


姫莉ちゃんは地面に枝で落書きしながらそんなことを言う。
確かに、否定はできるはずないんだよね、間違ってないもん。
困るな〜…。


「俺、割と長いこと姫莉ちゃんのこと狙ってるつもりなんだけどな〜」
「…知らない」


頑なだなぁ〜。
んー、今までの行いが悪かったかな〜…。


「じゃあ、これから俺の一途なとこ見せてくね」
「私と付き合ってもいいことないよ」


姫莉ちゃんはそう言うとお絵かきに熱中し始めた。
くるくると、枝をかき混ぜるだけの15分。
話しかけようと思ったけど、姫莉ちゃんの負のオーラが、俺にそうさせなかった。
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