校内一モテる地味子ちゃんの裏の顔
フルのもフラれるのも、日常茶飯事で、そーゆー日は決まって、ちゃんと慰めてくれる女の子のベッドに潜り込んでたのに。
……今日はそれすらしたくない。


「弓弦〜?なんかあった?」


ノックの後、ドア越しに聞こえてきたのはそんな声。
兄貴、依澄の、間延びした声…俺のに似ててやだ。


「……病んだだけ〜」
「珍しいな。なんかあった?」
「別に〜」


こっちが別にって言ってるのに、何も考えないで俺の部屋に進撃してくる兄貴。


「何なの?そんないい女だったわけ?」
「…めちゃ可愛いし、純粋だし…可愛い」
「とにかく可愛いんだな」
「とにかく可愛い」


兄貴は苦笑いで俺の倒れるベッドの端に腰掛ける。


「花が心配してたんだけど。『久々にゆずくんに無視されちゃったよ?嫌われたかな?』って。
澄珈も拗ねてたし。俺それ聞いてからすげー心配したよ?」
「大丈夫〜、いつもの女沙汰だから〜」
「そーだな、大丈夫ではなさそうだけど、いつものやつだな」


苦笑いで俺の頭をポンポンする兄貴。
…こっちは真剣に悩んでるのに。
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