校内一モテる地味子ちゃんの裏の顔
俺はなんの躊躇いもなく姫莉ちゃんのアカウントをタップして、発信ボタンを押す。
今まで、押したことないボタン。
彼氏、だから。許されるはずのボタン。


1コール、2コール…3コール……。


ザーーッてノイズ。


『…もしもし』


ジャー、ガチャガチャ、って生活音。
その1番近くに、姫莉ちゃんの声。


「姫莉ちゃん」
『何?』
「姫莉ちゃん姫莉ちゃん」
『ん?』
「もう寂しくなっちゃったよ?」
『早いね』


ふふっと笑い声が聞こえる。


「今なにしてるの?」
『洗い物してるよ』
「へ?お邪魔だったりする?」
『んーん、大丈夫だよ。
でも私、これ終わったらお風呂なんだけど』


それでもいい?と、聞かれる。


それはどっちの意味だ?
お風呂に入るから切らせてってことなのか、お風呂に入るけど電話してて大丈夫?って意味なのか…。
んん、なんだこのハードな問題。
難しい…。


『あっ、言っとくけど切る気ないからね?』
「あ、うん。全然大丈夫だよ」


後者が正解だった。
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