校内一モテる地味子ちゃんの裏の顔
そういうと姫莉ちゃんは笑みを浮かべて、ギュッと俺の手を握った。
小さな手は少し冷たい。


俺は姫莉ちゃんの手を引いて、お店を出ると駅に向かった。


「ほんとにお家行くの?」
「ん?そうだよー?澄珈もいるよ」
「えっと…ほんとに私帰らなくていいの?
ゆみくん、私のこと騙してないよね?
ほんとは帰らなきゃいけないけど、ゆみくんが私と一緒にいたすぎて、わざわざ嘘ついて拉致ったとか、そんなじゃない?」
「……えっと、俺のことなんだと思ってる?」
「んー…変態」


…そうだけどさ。


「嘘つかないから大丈夫だよ」


俺は姫莉ちゃんを連れて片道20分、家へ帰って行った。



◇ ◇ ◇



「ただいまー」
「お、おじゃましまーす…」


姫莉ちゃんはおずおずとあがる。
俺の声に反応した家の中の住民たちが、リビングのドアからひょこっと顔を出した。


ちっちゃい澄珈と、花ちゃん。


そっくりな顔で、そっくりな体勢。
さすが親子、って感じがするよ。
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