負け犬の傷に、キス



「成功です。行きますよ」


「え……えっ!?」




男の子は不適に笑う。


これが作戦だったの!?

俺、どう助けるか考えてたんだけど!



男の子に導かれるように路地裏を抜け、たまり場のほうへ走っていく。




「目的地はこちらですよね?」




俺の前を行きながら、さも当然のように聞いてきた。




「うん、そうだけど……教えたっけ?」




教えてないよな?

なんで最初から知ってるんだ?




「お兄さん、双雷の総長ですよね?」


「よく知ってるね!?」


「有名ですから」




なんだかこの会話デジャヴだなあ……。

俺の顔と肩書きって、一体どこまで広まってるんだろう。




「俺のこと知ってるのに……一緒に逃げちゃっていいの?」




たまり場に着くまで協力してくれるのは助かる。


だけどもうすぐ双雷の領域だ。


逆にそこから逃げ出したくなるんじゃ……?




「心配ご無用ですよ。お兄さんが無事に目的地にたどり着くまで、微力ながら援護させていただきます」


「……そっか。ありがとう」




双雷のたまり場に近づいているというのに、恐怖する素振りさえ見せない。


この男の子といい、望空ちゃんといい

俺の周りにいる年下の子は未知数すぎる。


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