負け犬の傷に、キス



広間に集い、好きな席につく。


津上さん、俺、薫、柏の順に横並びになると

向かい側に、博くんとユキが座った。



作戦の持ち場ごとに報告していく。



警察の動向をチェックしていた薫と柏は


「異常なし」




病院の見張りをしていた博くんとユキは


「こちらも異常なし」




……ふむ。

想定してた以上に何もなかったな。



これも、博くんが住所だけじゃなく家族構成から家の間取り、勤務時間や警察のパトロールルートまで調べ上げてくれたおかげだ。


悪用できないよう情報はあとで廃棄しておこう。いろいろ怖いし。




「望空ちゃんは?」


「弟くんが動く気配はなかったって。だからここに来るついでに家まで送ってあげたよ」




薫の話を聞いて安心した。


夜遅かったのに望空ちゃんに無理させたんじゃないかと不安視していたけど、特に問題が起こらなくてよかったよかった。




「作戦は大成功……だよね?」


「あくまで作戦は、ね」


「こっから大ごとになるだろうがな」




薫と柏が安心感にヒビを入れた。



大ごとに……なっちゃうよな。

やらかしてる自覚はある。


津上さんがいないと気づかれてからが本当の勝負。


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