負け犬の傷に、キス


院長のほうに駆け寄っていく男2人を急いで追いかける。



院長が傷つく前に殺らないと。


俺が、やらなきゃ、守れない。



でも……。



「俺らと、遊んで、くれよぉ」

「ひっ、ふくく、くっく」



男2人が暴れ回りながら院長に襲いかかる。


カシャンッ、と懐中電灯が落下した。



……迷ってる場合じゃない!



バット男の背後まで詰め寄る。

首めがけて飛び蹴りをかました。




「うっ、あ」




失神したバット男を素通りし、イカれヤローの正面に回る。


下から勢いをつけた拳で、イカれヤローの顎を砕いた。




「っ……!!」




よし、イカれヤローも気絶したな。

前みたいに復活されたら困るし、起き上がれないようにしておこう。



男2人の泥だらけのスニーカーから靴ひもを取り、それぞれの足首を縛る。


Tシャツを首元まではぎ、2人の服をがっちり結んでやった。



できた! これですぐには動けないよな!




「お父……いや、その……だ、大丈夫ですか?」




立ちすくむ院長に声をかける。


今ナチュラルに「お父さま」呼びしかけた。危ない危ない。




「あ、ああ……きみは……」




しどろもどろながら不審がられ、顔面蒼白になる。


侵入したとは口が裂けても言えない……!


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