負け犬の傷に、キス


小学生の女の子は少し悩んでから大きく頷いてくれた。




「わかりました! このお姉さんを守りぬいてみせます!」




女の子は女子の手をぎゅっとつなぐ。


小さな体なのに勇ましい。

俺なんかよりもずっと。



「あ、あの、わたし……」



ツインテールの女子の唇が震えてる。

言葉を続けようにも続けられない。



俺は優しくほころんだ。




「大丈夫。傷ひとつつけさせないから」




弱くても、守るよ。

“負け犬”にだって覚悟くらいあるんだ。



男たちとにらみ合い、お互いが動き出す。




「今だ!」




俺の合図で、小学生の女の子がツインテールの女子をつれて走り出した。




「あっ、おい!」

「逃げちまうぞ!」

「追え!!」



「そうはさせない!」




男たちに立ちふさがり、注意を引く。


2人の逃げ道を邪魔させない。




「仕方ねぇ……。まずはこいつをやっちまおうぜ」

「だな。全員でかかれば瞬殺だろ」

「ちゃっちゃと片付けるか」



「余裕ぶってるけど……攻撃が1回も当たってないこと忘れてる? 鳥頭なの?」



「こいつ……!」

「バカにしやがって!!」




……え? え!?

もしかして今の声に出てた!?


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