負け犬の傷に、キス
今こそ『かっこいい!!』ってほめ返したい。
白薔薇学園の連中に自慢してやりたい。
夕日ちゃんは
かわいくてかっこいい
最高の彼女だって。
どんどんレベルアップしちゃうから、追いかけるのに必死だよ。
「希勇さーん!!!」
バーン!!と扉が開いた。
むくれた望空ちゃんが現れる。
「おっそいです! 大変だって言ってるじゃないですか!」
「ご、ごめんごめん!」
小学生に叱られてしまった……。
そうだ、そうだった、何かが大変なんだった。
望空ちゃんに急かされ、ようやっと洋館に踏み入れた。
「何かあったの?」
「たぶん? 俺もよくわからないんだけど」
「そっか……。じゃあ紅茶淹れて持っていくよ。調理室借りていい?」
そう聞く夕日ちゃんに、ふたつ返事で許可する。
ムースといちご大福に合いそうな飲み物を用意してくれるらしい。
俺は望空ちゃんに連れられて広間に移動した。
「遅かったな」
「キユーはデートしに行ったの?」
……嫌な出迎え方だな。
圧がありすぎる。
柏は、長テーブルに足を乗っけてるし
薫は、大振りのピアスをいじってる。
俺だけリア充なのがそんなに気に食わないのか。
「お、遅くなってごめん……」
「惚気なら聞かないから」
「聞きたくもねぇ」
だから圧が強いんだって。
そろそろ顔面の迫力に気づいてくれ。