負け犬の傷に、キス
望空ちゃんはふたりになんて説明したの。
博くんからの指示終わりにデートしてたと思われてる?
それとも、寄り道の途中だったから不機嫌……とか?
クレープ屋のところでは応援してくれてたはずだけどな。
しょうがない。
今度、俺から寄り道に誘おう。
薫のセンスと柏の好みに合う、いい感じのスイーツショップを探しとかないと。
「のろけは今はいいんです! さっ、希勇さんすわってください。話を聞いてくださるんですよね!?」
「ああ、うん、聞くよ! 聞く聞く!」
俺を薫の隣に座らせると、望空ちゃんは真向かいで仁王立ちする。
あ、望空ちゃんは座らないんだね。
「みなさん大変なんです!」
幼い手でテーブルをドンッ!と叩かれた。
……そう、みたいデスネ。
で、何が大変なんでしょう。
「希勇さん!」
「な、なに?」
「たしか悪いことをしてる人たちをつかまえるお手伝いをしてるんでしたよね?」
「あ、うん。今日で一応終わったけど……それがどうかしたの?」
俺だけの条件といえど名目上“双雷11代目総長”への依頼だったから、望空ちゃんを含めた下っ端たちに端的に報告はしておいた。
はあ?って思われたとしても報連相って大事だし。
あとで完遂したことを話しとかないと。