負け犬の傷に、キス
「薬物使用者を始末してたなら、派手に動き回ってたんでしょ? よく“無色”の情報をさらされなかったね。やっぱり全員殺ってたの?」
「ほぼ全員仕留めたぜ」
薫とユキ、さらっと怖いことを……。
「……だが、それとこれとは違ぇんだ」
「違う? 何が?」
「そもそも俺らに関する情報を流してんのは俺ら自身なんだ」
さっき薫が言ってたね。
治安の悪いうわさとすっごく悪いのが、同時に同じ速度で知れ渡ったのは、わざとなんじゃないかって。
つまり、本当にそうだったってこと?
「意図的なのは知ってる。じゃなきゃおかしいし」
お、そうだったらしい。
薫の予想的中じゃん!
「でもあんたたちが広めたうわさ以外に、“無色”の情報は明かされなかったでしょ? それもおかしくない?」
……言われてみれば。
今まで“無色”のグループ編成や目的はわからなかった。
その“無色”という名前だって、俺たちが勝手に呼んでるだけ。
謎ばかりだし、双雷も“無色”に気をつけてた。
ふたを開けてみれば
こんなに近くにいたんだけど。
「標的を捕獲する際に、“無色”とは名乗っていないんです。だから情報がもれることはありえません」