負け犬の傷に、キス
標的側からしたら、見知らぬ誰かに捕まって
実はその「誰か」が“無色”でした、ってオチ。
……これはタネ明かしされないと気づかないなあ。
「つーか、俺らのグループに名前はねぇからな。名乗れねぇんだ。秘密裏に行動してるし、名前がねぇほうがうわさとしては面白ぇかなって」
ユキの言う通り、うん、面白い。
興味を引くのがうまいな。
まんまと術中にはまって、うわさを聞いた人は“無色”やら“名無し”やら好き勝手呼び、うわさを広めていった。
俺たちの中でもすっかり“無色”呼びが定着してるし。
「んな怪しすぎるうわさ、流す意味あんのか?」
「僕たちの存在をほのめかし、薬物使用者を含めた不良の行動の抑制したかったんですよ。そうすれば“薬”のめぐりを悪くできますし、行動を制限したうえで動く人こそ、元凶の可能性が高いですから」
「ゲンキョー?」
オウム返しした柏。
わかんないよな。俺もだよ。
元凶って何の?
「俺らは薬物使用者の粛清、捕獲をしながら……それと同時に“薬”を渡してる元凶を探してんだ」
「生け捕りにしてるのは、“薬”の売人の情報を引き出すためでもあるんです」