負け犬の傷に、キス
元凶ってそういうことか!
薬物を使ってる人がいるってことは
どこかで薬物を買ってるってことで
当然ソレを売ってる人もいるってことだもんな。
その出どころをつかめば、標的の数が増えることもなくなるんだ!
「で? 見つかったの?」
頭のいい薫は難なく呑み込んでいき、続きをうながすよゆうがある。
いいな。うらやましい。
俺はもう頭がパンパンだよ。
何が何でも知りたいから聞くけど!
「それが……見つからないんです。めぼしい情報も今のところ……」
「情報も? 雑魚なら吐きそうだけどね」
「これまで脅……うかがってはみたんですが、どうやっても口を割らないんです」
は、博くん!? 今、脅すって言いかけなかった!? 俺の空耳!?
「“薬”に狂った不良はみな、たった一言。
――あの人の味方だから、とだけ」
博くんにしては低いトーンだった。
そのせいか何か隠された意味があるんじゃないかと勘ぐってしまう。
薬物の売人の、味方。
どういう意味なんだろう。
それ以外語らないのも謎だ。
“薬”以上に、その元凶に心酔してるような……。
「本当は標的どもが手を組む前に、元凶をつぶしておきたかったんだがな……」
「“無色”の素性が知られる心配がないなら、しばらくは平気なんじゃない?」
やりきれずにテーブルの上で拳を握るユキは、薫の楽観的意見にかぶりを振る。