負け犬の傷に、キス
「俺たちも協力するよ? するからな?」
やっぱやーめた、は、ナシだよ。
ふたりの秘密を聞いたら、もっと協力したくなったんだから。
俺にできることなら全力でやるからな!?
「こーんなめんどくさいこと、迷惑がらない物好きなんてキユーくらいだよね」
「間違いねぇ。しかも俺“たち”って……勝手に双雷の話にしちまってるし」
「今さら反対したいとも思えないよ」
「信じてやっか。俺らの総長に免じて」
薫と柏は顔を見合わせると、呆れたようにほころんだ。
ふたりとも……!
ゆるゆるに破顔しそうなところをぐっとこらえながら正面を向き直す。
「同盟、結んでくれるよな……?」
うぐっ、声がゆるゆるになっちゃった。
締まりがない。
もっとかっこつけるつもりだったのに!
内心悔やんでいると、博くんとユキは覚悟を決めた。
「僕たちからお願いさせてください」
ふたりは立ち上がった。
博くんの手が差し伸べられる。
「僕たちと同盟関係になってくださいませんか?」
「双雷の手を貸してくれ!」
博くんのこげ茶色の瞳が潤んでいるのに気づいた。
あぁ、俺まで泣いてしまいそうだ。
じわりじわり。いろんなものがあふれてくる。
「もちろん!!」
迷うことなく博くんの手を取った。
「本当に……ほんとに、ありがとうございます、お兄さん――いえ、希勇さん」
「よろしくな、希勇くん」
「博くん、ユキ……!」
初めてちゃんと名前を呼んでくれた。
嬉しさのあまり博くんの手をぎゅっと強く握りしめ、ブンブン上下に振り回してしまう。
「うん、よろしくね!!」